こんにちは!お墓アドバイザーの栗原です!
「位牌の設置を考えているが、何から始めれば良いのか」「位牌のお手入れはどうやるのか」
そんな疑問や不安を抱える人が、仏壇や葬儀の準備過程で現れることは少なくないでしょう。
この記事では、位牌の設置ガイド、保持方法、そして処分時の要注意事項をわかりやすく解説しております。
このページを閲覧することで、位牌についての深い知識だけでなく、製作や処分の際の考え方や注意事項も把握できるでしょう。葬式や法事などのイベントも、ここで得た情報を基に、スムーズに進行できます。
位牌の購入を計画している方、あるいは位牌に関する情報を深く知りたいと思っている方は、是非この記事をご一読ください。
そもそも位牌とはなんなの?
位牌は、故人の戒名(法名、法号)を刻んだ木製の札で、故人を代表し、仏壇にて供養の対象とされます。
これにより、位牌は墓石と似た意義を有すると考えられ、家庭でお位牌へのお供えを行うことが、亡き人や先祖への感謝の気持ちを表すと言われています。
位牌に記載される内容
位牌に刻まれる文字には、それぞれが特有の意味を持ちます。
基本項目以外にも、梵字や冠文字、そして宗派ごとの本尊を示唆する文字や、各種称号や敬称が用いられることがあります。これらの要素をきちんと把握しておくことが重要です。
故人の戒名
位牌に故人の霊を祀るため、戒名(法名・法号)が刻まれます。
戒名は、かつて仏の弟子へ授けられた名で、仏教においては「人が死ぬと仏の世界へ行く」とされており、戒名を付与することで仏教の世界への入り口を開く準備をするとされています。
ただ各仏教宗派により、戒名の呼び方や与え方が異なり、例えば日蓮宗では「法号」、浄土真宗では「法名」と呼ばれます。
戒名は「院号」、「道号」、「戒名」、「位号」の4つの要素から成り立ちます。「院号」は寺や社会への貢献者、「道号」は故人に関連する地名や趣味、「戒名」は本名を基に、「位号」は年齢や性別、寺への貢献度に基づいて決められます。
故人の俗名
「俗名」は故人が生前使用していた実名のことを指します。俗世で使用されていた、僧侶となる前の名前という意味で「俗名」と言います。
位牌上では、俗名は裏面の中央に記載されます。戒名が無い場合は、表面の中央に俗名を記します。近年、俗名のみを用いて位牌を作成する人もいます。
戒名の授与に負担を感じる方は、俗名のみで位牌を考慮するのも一考です。
没年月日
没年月日も位牌に刻まれます。これは、戒名や俗名以外の故人に関する重要な情報です。没年月日は「令和」などの元号を使用し、漢数字で表記するのが通常です。
没年月日の位置は表面で、故人の死亡日を一目で確認できるように配置されます。しかし、その位置は固定されておらず、裏面に記載されることもあります。
享年
享年は、故人の死去時の年齢が刻まれます。享年には満年齢と数え年があり、どちらを選ぶかは家族間で話し合いをして決定します。
享年の位置は、「行年」や「享年」という言葉の下部です。「行年」は修行した年数、「享年」は天に与えられた年数を意味します。
ただし、全ての位牌にこれらの項目が刻まれているわけではないので、購入前に仏壇店と相談し、確認しておくことが必要です。
位牌を作らないとどうなる?位牌の必要性についての考察
位牌を用意することが故人を祀る上で必要と感じる方もいれば、不要と感じる方もいるというのが現実です。では、位牌を購入するかどうかで悩んだ際、どのように考えれば良いでしょうか。位牌を作らないとどうなるのでしょう。
故人への供養心としては、故人を偲び平安を祈る心が重要です。ただし、宗教ごとに教義があり、それに基づいた供養を行う必要があるでしょう。
以下では、宗教ごとの観点から、位牌の必要性について考えていきましょう。また、以下の記事では新しい供養方法についてご紹介しておりますので、ぜひご覧ください!
仏教徒である場合は準備を推奨
もし故人やご家族が仏教徒であれば、位牌の準備をお勧めします。
多くの仏教宗派では、故人の霊魂が位牌に居住すると信じられています。そのため、位牌がないと、故人の魂が家に帰ってこれないとも言われています。
仏教徒の多くは位牌を仏壇に準備し、先祖を日々供養します。位牌があることで、故人への感謝の気持ちを深く表現できます。
ただしすべての仏教徒が位牌を必要とするわけではありませんので、各宗派の教えを確認してから決定しましょう。
無宗教者であれば基本的には不要
無宗教の方でも、家で故人を偲びたいと思う方は、位牌を購入することもあります。
もし無宗教者でありながらも、日常的に故人に対する供養を行いたいと思っている方は、位牌は葬儀業者や仏壇店で入手可能です。
しかし仏教徒でない方が戒名を受けることは難しいでしょう。その場合は、故人の本名を位牌に刻むのが適しています。
浄土真宗では通常は不要
浄土真宗では、教義により、亡くなった方が仏となり、位牌の準備は基本的には不要です。
浄土真宗では「人は信仰により阿弥陀如来に救われる」と教えており、位牌の準備は必要ないとされています。
浄土真宗における「法名」
浄土真宗では、「戒名」ではなく、「法名」と呼ばれる名前が授けられます。
「法名」は、浄土真宗の信徒が生前に受ける名で、戒名のように死後に付けられるものではありません。
浄土真宗の信徒が「法名」を受けることは、「仏の弟子」であることを宣言する意味を持っています。この宗派には戒律がなく、仏に帰依するという受戒の儀式も存在しないため、法名を受けることは仏として生きることを誓うと解釈されます。
法名軸と過去帳が代替品
浄土真宗では、教義により位牌は不要とされていますが、位牌の代わりに「法名軸」と「過去帳」が用いられます。
「法名軸」は故人の法名が記された掛け軸で、浄土真宗独特の仏具です。これは仏壇内に掛けられ、位牌の代わりとされています。
「過去帳」は、家系における故人の記録が載せられた帳で、法名や俗名、没年月日、享年等が記載されています。過去帳を見れば家族の系譜が一目でわかります。
神道の場合「霊璽(れいじ)」が適している
神道においては、「霊璽(れいじ)」が位牌の代わりに用意されます。これは御霊代(みたましろ)とも呼ばれ、故人の霊が宿ると信じられています。
霊璽は、神道における供養において重要な神具で、祖霊舎(それいしゃ)に安置されます。
霊璽の形状は位牌に似ていますが、実際には小型の墓石に近いと考えられています。
位牌を作らないとどうなる?作ってよかったという人の体験エピソード
ここで私が知る、位牌を作ってよかったと仰っている方のエピソードをひとつお話します。鈴木さん(仮)は、亡くなったお父様のために位牌を購入しました。お父様の急な逝去に、彼女は大変なショックを受けていましたが、ある日、親しい友人から位牌の購入を勧められました。
鈴木さんが選んだ位牌は質の良い木材で作られ、職人の手仕事が感じられる逸品でした。その位牌を見るたびに、お父様の暖かさと優しさを思い出し、心がほんのり温まると言います。
位牌を手に入れてからの鈴木さんは変わりました。位牌に手を合わせることで、お父様への感謝や愛情を新たに感じ、家族と共にお父様を偲ぶ時間が増えたのです。位牌が鈴木家にとって大切な家族の一員となり、お父様とのつながりを感じられる存在となっているのです。
鈴木さんは、位牌購入を通じて故人と心から繋がれる経験ができ、非常に感謝しています。位牌を通じて故人と深く繋がり、心の支えとなる経験をした彼女は、迷っている方にも位牌を購入することをお勧めすると仰っていました。
位牌を注文する際のチェックポイント
位牌の作成に際しては、予算や注文タイミング、刻まれる文字の選定など、多くのポイントを事前にチェックする必要があり、どのように進めばよいか迷うことも多いでしょう。
以下では、位牌を注文する前に確認しておきたい重要ポイントを提示いたします。これを参照にして、適切な判断をしてください。
以下の記事では、墓じまいについてもご紹介しておりますので、ぜひご覧ください!
位牌の費用の目安
位牌を選ぶ際の一つの課題は、どの価格帯のものを選定するかという点です。位牌には様々な価格帯のものがあります。故人への敬意も考慮し、慎重な選定が求められます。
位牌のコストは、そのサイズが大きくなるに従い増加します。仏壇との調和や刻む文字の量なども考慮に入れて選んでください。
位牌の価格帯は、安いものでは約1万円、高いものでは5万円程度とされています。サイズが同じでも、使用される材料やデザインにより価格は変動しますので、様々な要素を考慮し選定してください。
刻む文字の内容
位牌を作成するには、刻む文字が決まっていないと始まりません。仏壇店に足を運ぶ前に、刻む文字をリストアップしておくとスムーズです。
また、位牌を購入後に刻む文字を指定して作成することも可能ですが、これには時間と労力が必要です。可能な限り、訪問前に刻む文字を準備しておきましょう。
機械彫りと手彫りの違いについて
以前は、位牌に手彫りや手書きで文字が入れられていましたが、時間の経過と共に文字が消えることがあります。近年では、機械による彫りが主流となっています。
機械彫りと手彫りの主な違いは、文字のサイズやバランスです。機械彫りは視覚的にも美しく、整った仕上がりとなります。
注文のタイミング
位牌は、四十九日の法要までには用意する必要があります。四十九日の法要は、寺院の住職が位牌に魂を呼び込む日とされています。葬儀から四十九日までの間は、仮の位牌が用いられます。
本位牌の作成には1〜2週間の期間が必要です。刻む文字の選定に時間がかかることもありますので、早めに仏壇店に依頼しておきましょう。
必要な位牌の数量
位牌を作成する際、何枚必要かも事前に考慮しておきましょう。
原則として、故人一人に対して一つの位牌を作成し、通常は長男の家で祀ります。ただし、特殊な状況下では、複数の位牌を作成することもできます。
これには、地域の習慣や子供の数、遠方に住んでいて供養が難しいケースなどが含まれます。位牌を分ける場合も考慮し、必要な位牌の数を家族と相談して決めておきましょう。
祀る位置
位牌は通常、仏壇の二段目に祀られます。仏壇の一段目には、信仰の対象である仏像や掛け軸、仏塔などが配置されます。
また複数の位牌がある場合は、右側から順に年代の古い先祖のものを配置します。これは仏壇の右側が上座とされるためです。
位牌を安置するためには仏壇が必要となりますので、位牌を作成する際は、同時に仏壇の購入も考慮しましょう。
先祖の位牌の有無やサイズの確認
位牌を作成する前には、「先祖の位牌がすでにあるかどうか」「位牌を置くスペースは十分か」「位牌のサイズはどれくらいが適しているか」などを確認しましょう。
位牌のサイズについては、「仏壇に適切に収まるサイズ」「御本尊の目線を超えない大きさ」「他の位牌とのバランス」などを考慮して選びましょう。
また位牌が多くて仏壇に収まらない場合、位牌を一つにまとめることも考慮すると良いでしょう。まとめるための位牌には「先祖位牌」「夫婦位牌」「回出(くりだし)位牌」などがあります。
さまざまな位牌の種類を知ろう
位牌には様々な種類が存在します。選びやすくするため、それぞれの種類について知っておくと良いでしょう。
ここでは位牌の主要な種類を詳しく紹介し、その特徴や使用目的を説明します。位牌の材質や目的によって種類が分かれているため、購入の際にこれらのポイントを押さえておくと役立ちます。
以下の記事では、お墓を持たない永代供養についてもご紹介しておりますので、ぜひ一読ください。
仮位牌として使われる「白木位牌」
葬儀の際に用いられるのが「白木位牌」です。白木位牌は、別名「仮位牌」とも呼ばれ、葬儀から四十九日の法要までの期間に使用されます。多くの場合、葬儀社や寺院で提供されることが一般的です。
四十九日の法要が終わったら、正式な「本位牌」を用意し、白木位牌は寺院で引き取られることが多いです。
長期間使用する「本位牌」
本位牌は、四十九日の法要以降長く使用される正式な位牌です。購入する際は、材質やサイズ、デザインなどを慎重に選びましょう。本位牌には様々な種類があり、家族と相談して選ぶと良いでしょう。
以下で、いくつかの本位牌の種類を紹介します。
基本形の「板位牌」
「板位牌」は、位牌の中でも最も基本的な形状をしています。新しい位牌を作る際には、多くがこの板位牌になります。板位牌は基本的に、土台と札板が一体となった形状をしており、故人一人の戒名を刻みます。
豪華なデザインの「塗位牌」
「塗位牌」は、位牌に漆を塗り、金箔や金粉を施した豪華なデザインのものです。塗位牌は伝統的なデザインで、多くの人がイメージする位牌の形です。塗りの材料としては、「本漆」や「カシュー漆」などが使われます。
美しい木目の「唐木位牌」
「唐木位牌」は、美しい木目を活かして作られる位牌です。使用される木材には、黒檀、紫檀、白檀、けやきなどがあります。唐木位牌は、素材として使用される木材が中国(唐)から輸入されていたことに由来しています。現在では、国内産の木材も使用されますが、特徴として木目が美しい木材が選ばれます。
複数の戒名を刻む「幅広位牌」
「幅広位牌」は、名前の通り幅が広く、複数の戒名を刻むことができます。夫婦や家族の戒名を一つの位牌にまとめたり、過去帳をまとめる際にも使用されます。
過去帳を納める「過去帳位牌」
「過去帳位牌」は、位牌に過去帳を納めることができる特別な型の位牌です。位牌をまとめる必要がある場合に使用されることが多く、過去帳に先祖の戒名や没年月日を記載し、一つの位牌として祀ります。
札板が複数入る「繰り出し位牌」
「繰り出し位牌」は、複数の札板を入れることができる位牌で、回出位牌とも呼ばれます。この位牌は、ご先祖の位牌をまとめる際に使用されます。札板は命日順に重ねられ、命日が来るとその札板を表に出します。
お寺で祀られる「寺位牌」
「寺位牌」は、お寺で永代供養されるための位牌です。自宅で祀ることができない位牌や、永代供養を希望する場合に用いられます。お寺によっては、新しく位牌を作らずに、自宅の位牌を持ち込むことも可能です。
位牌の選ぶときのポイント
位牌を選ぶ際には、様々なポイントを考慮する必要があります。価格や材質、サイズなど様々な要素に注意して選びましょう。以下では、位牌選定の際に注意すべきポイントを紹介します。
白木位牌と本位牌を正しく理解する
位牌には大きく「白木位牌」と「本位牌」の2種類があります。白木位牌は一時的に使用されるもので、四十九日の法要が終わると本位牌に取って代わられます。白木位牌は通常、葬儀社や寺院で提供され、本位牌は家族が仏壇店で注文します。本位牌の作成には時間がかかることもありますので、早めに手配しましょう。
価格と原産国を確認する
位牌は同じサイズでも価格が異なることがあります。これは、原産国や材質によるものです。海外産の位牌は比較的安価ですが、国内産の位牌は高価ですが質が良いとされています。購入の際には、価格と原産国を確認し、予算に合わせて選びましょう。
直葬の場合の手配方法を知る
「直葬」とは、通夜や告別式を省略して火葬だけを行う葬儀のことを指します。直葬の場合でも、家で故人を供養する意向があるなら位牌は必要です。直葬の場合の位牌の手配方法についても知っておくと良いでしょう。
もし自宅で故人を供養する予定であれば、位牌の用意は必要となります。仮の位牌である「白木位牌」は通常、葬儀業者から提供されることが多いです。一方で、正式に供養に用いる「本位牌」は、仏壇専門店や位牌専門店で選んで購入することになります。それぞれの位牌には特定の用途と期間があるため、この手配のプロセスを理解しておくことが重要です。
以下は、位牌に関するお手入れ方法、処分方法、そして位牌の必要性を考慮する際の重要なポイントについてのまとめです。
位牌のお手入れ方法
位牌の処分の仕方
位牌がいらないかどうかきちんと考えておこう
位牌のお手入れや処分、購入を考慮する際には以上のポイントを参考にして、適切に手配や処理を行いましょう。
位牌を作らないとどうなる?:まとめ
仏教徒と位牌
無宗教者と位牌
浄土真宗と位牌
ここまで読んで頂きありがとうございました!
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